無事引退式も終えたラヴズオンリーユーさん、現役生活お疲れ様でした。

ワールドホースレーティングとワールドベストレースレーティングがでたので、せっかく自分の出資馬ですしレーティングに対して考察というか、どうしてこういったレーティングがついたのかを考えてみたいと思います。

①そもそもレーティングとは

名称当含め詳しくはこちら。
今現在のレーティングは国際競走の出走に対してレーティング基準での優先権や招待順位決めに使われる形がほとんどなので、国際的な馬の格付け、みたいなところがあります。数値＋距離や馬場の区分となっています。

②日本馬のレーティングについて

日本馬のレーティングは下記のとおりです。（参照）

これだけをみて、なんでエフフォーリアが1番上じゃないの？コントレイルに忖度したの？みたいなことを言う人が大体レーティングの基礎もわかってない人ですね。まぁわかりにくいんでしょうがないとおもうんですが・・・
根本的な考え方とは異なりますが、ここにセックスアローワンス（牡馬牝馬）、エイジアローワンス（年齢）による差をいれたのが下記のレーティングになります（なぜこの表記をしないのかについては色々あるので割愛します）
ちなみに日本の場合は上記アローワンスについては2kg差となっているので、ポイントでいうとどちらも4あがることになりますね。

具体的にこの表をワールドホースレーシング等で使うことはないですが、上記の通りエフフォーリアが最上位にきます。

③ラヴズオンリーユーのレーティング118は妥当なのか

問題の本筋に入ります。上記表にしてみてもやや低いかなーと思われるラヴズオンリーユーの118のレーティングですが、個人的な感想としては「概ね妥当」だと思います。
理由としては
・FWD Queen Elizabeth II Cup （クイーンエリザベス2世カップ）のレーティングがシーズン序盤につけられ、有力馬の出走が少なかったこと。
・Maker's Mark Breeders' Cup Filly & Mare Turf （ブリーダーズカップフィリーアンドアンドメアターフ）及びLONGINES Hong Kong Cup （香港カップ）の着差が少なく、レーティングを上げる要素を満たしていない事
の2点が要因です。これについてもう少し詳しく解説します。

(1)FWD Queen Elizabeth II Cup でのレーティングについて

ラヴズオンリーユーが出走した中で一番レーティングがつきやすかったのが実はこのレースになります。レースレーティング120.00となっており、走った中では一番レースレーティングが高かったです。
レースレーティング（上位4頭の平均）の内訳は
グローリーヴェイズ=123
デアリングタクト＝119(115)
ラヴズオンリーユー=122(118)
キセキ＝116
合計480/4=120.00になります。
まずラヴズオンリーユーの122がどのようにしてつけられたかについては、ALL IN LINEで詳しく解説されてましたね。このレース出走前の前哨戦香港ゴールドC（芝2000mのI区分)での EXULTANT（エクザルタント） 115を基準としている旨記載されています。何故ここを基準にするかというと、グローリーヴェイズ、デアリングタクトは上位のレーティングを持ってはいるのですが、共に2400mでの数値（L)となるためです。
レーティングは距離の概念があり、(I)が2100mまで、(L)が2101m以上となっています。
(厳密にはこちらの距離別カテゴリーを確認ください。)このレース自体は2000mとなるので、グローリーヴェイズとデアリングタクトを基準にした測り方は適してないということになり、同年同じ距離でレーティングを出したエグザルタント基準になったわけですね。ただ本当にエグザルタント基準であればそこからの着差がラヴズオンリーユーまで8馬身以上となるので122～123ぐらいの範囲。そこを122(118)で申請したのは初の海外G1制覇でレーティング上高くつけにくいという側面があったかと思います。個人的にはセンテナリーヴァーズ(G3)芝1800mで EXULTANT（エクザルタント）が出している120(区分M）を出していたことを考えても、高めに推奨してもよさそうには見えたんですが、この辺は匙加減ですね。プレレーティングではデアリングタクトが123(119)になるので、元々もっているレーティング程の活躍を、デアリングタクトがその後のレースでしていれば最終上方修正される可能性があったと思うのですが、怪我で残念ながら全休。グローリーヴェイズもエグザルタントもキセキも、その後にI区分でレースに出てないのはきつかったのはあると思います。

(2)Maker's Mark Breeders' Cup Filly & Mare Turf （ブリーダーズカップフィリーアンドアンドメアターフ）及びLONGINES Hong Kong Cup でのレーティングについて

こちらは凄い簡単で、どちらも2,3着馬にレーティングが高い馬がおらず、着差がついてないことが要因です。正直相手は選べないのでしょうがないですね。
前後しますがLONGINES Hong Kong Cupについてはヒシイグアスがこのレースで117をつけているようにラヴズオンリーユー基準での117になり、同レースで一番レーティングが高くI区分でもっていたDubai Honour(121)が不利も含め4着にまけてしまい、この馬を基準にしてのレーティングはなくなりました。3歳馬なのでこの馬が実質125を持っていたことを考えても、この馬が2着であればレーティングが上がった可能性は非常に高かったのですが・・・3着のロシアンエンペラーが110以下なのもあり難しいですね。
Maker's Mark Breeders' Cup Filly & Mare Turfについてはそもそもレーティング基準となる馬がほぼおらず、発表されてないですが、恐らくプレレーティングの上位はLOVEのPrince of Wales's StakesでのL区分での118とラヴズオンリーユーのI区分での118。Audarya のL区分での116とかです。レーティングが非常につきにくいレースで、しかもLOVEが4着に敗れたため、こちらもラヴズオンリーユーがほぼ基準みたいなレーティングの付き方になりました。2着馬My Sister Nat は恐らく110以下、3着War Like Goddess は前哨戦のフラワーボウルで115はもっていたぐらいで、こちらもやはり2,3着馬の持ちレーティングの問題が非常に大きかったです。ただここで大きな問題なのはMy Sister Nat とWar Like Goddess の2頭にこのレースでレーティング117がついたことです。Maker's Mark Breeders' Cup Filly & Mare Turf自体牝馬限定戦の中では2021年度では一番高いレーティングとなったレース（牝馬レートのみ計算で117.50は70位、アローワンス込みでの計算になると121.50換算で世界11位)なのですが、例えばラヴズが出た中では一番レースレーティングが高かったLONGINES Dubai Sheema Classic。レースレーティングが122.00でミシュリフがこの日マークしたレーティングは124で1馬身以内の3着ラヴズオンリーユー120(116)。着差が1馬身差と半馬身差で違いがあるとはいえ、ラヴズオンリーユー122(118)に対しMy Sister Nat とWar Like Goddess の121(117)はさすがにつけすぎという印象です。レースレーティングや勝ち馬レーティングに全く整合性がない状態。ラヴズオンリーユーが123や124ならわかるのですが・・・実質そのような扱いにされていた可能性が大、というのが正直なところです。116ならほぼ何の問題もなかったんですが、これについても半馬身差でレーティング2差をつけれないというのもあったかもしれないので、この時点でやはりラヴズオンリーユーの評価とレーティングはそれなりに乖離していたように見えます。この部分深く突っ込んだらレーティングつけた人から納得できる回答がくるのか、かなり怪しいと思ってます。

なかなか納得いかない部分もある人がいるかもしれないですが、あくまで基準となる数値というだけで、馬個人を評価するというのには近年ではなかなか向かない表になってるレーティング。この記事で少しでも腑に落ちたという人がいたら幸いです。