「TOKYO！」

2013年9月7日、日本で再び平和の祭典が始まった。

エンブレム盗用や新国立競技場、当初の4倍以上に膨れ上がる開催費用、猛暑対策など様々な困難に直面したが、不退転の覚悟で何だかんだ乗り越えた。

2020年、未知のウイルスが地球を覆った。

他のウイルスとは比べ物にならない感染スピード。

致命性は低いが後遺症もある。

ウイルスに罹らずとも人の心を蝕んだ。

そして、平和の祭典は延期を余儀なくされた。

アスリートも市民も生きがいを奪われた。

娯楽は平和のもとに存在するのか。

娯楽は平和でないと存在してはいけないのか。

平和を求める人類は、1つの答えを導き出した。

この星には「ミルファーム大運動会」がある。

目次

1．ミルファーム大運動会って何だよ

2．1頭ずつミル大運動会

3．展開でミル大運動会

4．データでミル大運動会

5．ミルニイの結論

1．ミルファーム大運動会って何だよ

ミルファーム大運動会とは、夏の新潟開催前半に編成される2歳未勝利・芝直線1000m戦のことを指す。今年は7月25日(土)新潟1Rに開催される。

このレースには毎年多くのミルF所有馬が出走し、過去4年で計36頭、1レース平均9頭が出走。まだ幼い若駒たちが能力の有無を問わず一直線のコースをひたむきに走る様子から、小学校の運動会になぞらえて「ミル大運動会」と呼ばれるようになったとされている。また出走馬の過半数が同じ勝負服となるため、パドックやターフが「紅に染まる」現象が毎年発生。ミルFのどの馬がどの位置にいるか一目では判別できず、「実況アナウンサー泣かせのレース」とも呼ばれている。(『みるぼん』より抜粋・一部修正)

当該番組についての歴史、なぜミルファームが多頭出しするようになったかについては、C98新刊『みるぼん』(DLはこちら)をご覧いただきたい。

今年は最有力候補のクムシラコが前走で鼻出血を発症したため無念の回避となったが、16頭中12頭が「(有)ミルファーム」所有馬。

出走取消や競走除外がなければ、同一馬主によるJRA最多出走頭数記録を更新。大手メディアも土曜の1レースに熱い視線を送るという「異常事態」に発展している。

そんなミルファーム大運動会を馬券でも楽しみたい！という要望にお応えして、各出走馬の戦績・今年の展開・過去10年のデータ・ミルニイの予想を「教えて競馬民」で公開したい。馬券購入の参考にしていただければ大変幸いである。

2．1頭ずつミル大運動会

大運動会攻略のために必要なのは、やはり過去のレースを振り返ることだろう。

しかし短距離戦とはいえども、16頭全てのレースを振り返るのは時間を要する。

そこでミルニイが全レースをチェックし「発馬・加速・終い」の3項目で評価。直線競馬で真価を発揮しそうな出走馬を探していきたい。

【評価印の読み方】

◎非常に良い　○良い　▲普通　△微妙　×良くない

1枠1番　ホットスポット　菅原隆一

7/4　福島6R　新馬　ダート1150m　16番人気16着

発馬△加速×終い×

短評：ダートの新馬はタイムオーバー。アンライバルド産駒だけに芝で変わり身あるか。

1枠2番　キュムロンニンバス　△菅原明良

6/6　東京5R　新馬　芝1400m　9番人気6着

発馬○加速△終い▲

6/27　東京1R　未勝利　芝1600m　8番人気10着

発馬○加速△終い▲

短評：オーバースペックの全弟。新馬はじり脚を見せまずまずの内容。前走は折り合い重視で切れ負け。ゆとりのある臨戦過程がどちらに傾くか。

2枠3番　ハルハル　杉原誠人

7/11　福島6R　新馬　芝1200m　11番人気6着

発馬◎加速○終い○

短評：新馬では好スタートを切ってすんなり先行。非力なタイプで、良馬場ならさらにいい走りを見せそう。

2枠4番　テセウス　嘉藤貴行

7/4　福島5R　新馬　芝1200m　7番人気7着

発馬○加速◎終い▲(備考：直線外斜行)

短評：ダノンレジェンド産駒ながら新馬ではすんなり先行し芝は問題ない。兄マメシボリと同様に気性に難があり埒を頼ってみたかったが……

3枠5番　ベアフューチャー　▲小林脩斗

6/13　函館5R　新馬　芝1000m　9番人気6着

発馬○加速▲終い○

7/12　函館1R　未勝利　ダート1000m　10番人気12着

発馬▲加速△終い×

短評：前走はダートなので度外視。新馬では中団から脚を伸ばし、後の重賞馬リンゴアメと1秒1差の6着。3キロ減で加速がつけば脅威的。

3枠6番　ウキウキホリデー　国分優作

7/12　福島6R　新馬　芝1200m　9番人気9着

発馬▲加速○終い△

短評：新馬では先行したが4角で失速。コーナーがなくなるのはプラス。

4枠7番　ミルサクセサー　西村太一

6/21　函館5R　新馬　芝1200m　11番人気11着

発馬◎加速△終い△

6/27　函館1R　未勝利　芝1200m　9番人気8着

発馬○加速▲終い×(備考：終始外)

短評：新馬は好スタートもダッシュがつかず。それでもブリンカーを着用した前走は4角まで馬群についていけた。西村太一は約3年ぶりのミルF騎乗。ファイトを見せてほしい。

4枠8番　アッシュグレー　嶋田純次

7/12　福島6R　新馬　芝1200m　11番人気5着

発馬◎加速▲終い○(備考：道悪で終始内)

短評：新馬は道悪の外差し馬場の内を通り勝ち馬と0秒5差の好走。開幕週はいいが雨がどこまで響くか。

5枠9番　ピュアエール　柴田大知

6/21　函館5R　新馬　芝1200m　7番人気12着

発馬○加速◎終い×

7/12　函館1R　未勝利　ダート1000m　9番人気8着

発馬◎加速◎終い△

短評：発馬・加速はメンバーで1番速いが、勝負処で踏ん張りが効いていない。前走を見る限り芝よりダートのほうが向いてそう。それでも勢いで押し切る可能性は十分にある。

5枠10番　ヤクモ　☆木幡育也

6/13　東京5R　新馬　芝1400m　12番人気13着

発馬◎加速×終い×

短評：新馬では好スタートを切ったが、頭を上げて減速、タイムオーバー。1か月半で気性を矯正できるか。

6枠11番　レゾンデートル　江田照男

6/14　函館5R　新馬　芝1200m　9番人気6着

発馬○加速◎終い△

6/28　函館1R　未勝利　芝1200m　8番人気9着

発馬○加速△終い▲

短評：新馬ではすんなり先行。前走は先行できず外を回り最下位だったが、勝ち馬とは0秒7差。江田照男に全てを託す。

6枠12番　ビヨンドザシーン　城戸義政

7/5　福島6R　新馬　芝1200m　11番人気10着

発馬△加速△終い▲

短評：新馬は見せ場なし。勝ち馬と1秒5差を好意的に解釈したい。

7枠13番　ギョベクリテペ　三浦皇成

7/4　福島5R　新馬　芝1200m　9番人気3着

発馬○加速◎終い○

短評：新馬はダッシュがついて先行、直線でもいい粘りを見せた。操縦性も抜群で、実績・実力ともに最上位。

7枠14番　イッツアメモリー　長岡禎仁

7/11　福島6R　新馬　芝1200m　13番人気14着

発馬△加速▲終い△

短評：新馬では見せ場なし。チークピーシズと外枠を最大限に生かしたい。

8枠15番　アンジェリケ　大庭和弥

7/5　福島6R　新馬　芝1200m　12番人気12着

発馬◎加速×終い△

7/19　福島1R　未勝利　芝1200m　11番人気8着

発馬◎加速×終い○

短評：スタートは上手だがダッシュがつかない。埒を確保してどこまでやれるか。

8枠16番　ビーマイベイビー　岩部純二

7/4　福島5R　新馬　芝1200m　5番人気6着

発馬◎加速◎終い△

短評：新馬は発馬・加速共に申し分ない内容。後は埒を確保して行けるところまで行くのみ。

3．展開でミル大運動会

逃げ　ピュアエール

先行　ウキウキホリデー、ギョベクリテペ、テセウス、ハルハル、ビーマイベイビー、ミルサクセサー、レゾンデートル

差し　アッシュグレー、ベアフューチャー

追込　キュムロンニンバス

このメンバーで最も脚が速いのはピュアエールに違いない。過去2走でハナを取り切ったように、純粋なスピードは世代でもトップクラス。しかし勝負処での踏ん張りが効かず、ライバルに交わされると極端に減速してしまう。コーナーを曲がるための減速がなくなるのはいい材料だが、果たして逃げ切れるのか。

ピュアエールを見るような形でミルファームの有力馬たちが追走。中団にアッシュグレーやベアフューチャー、後方にキュムロンニンバスなどといったところだろう。

4．データでミル大運動会

C98新刊『みるぼん』では過去10年のミルファーム大運動会のデータを5ページにわたって紹介している。その中から今年の大運動会で活用できそうなデータをいくつかピックアップする。

☆5月生まれ[5-0-0-25]→ウキウキホリデー、ビーマイベイビー、ピュアエール、ビヨンドザシーン、ベアフューチャー、ミルサクセサー

◎2番人気[5-4-1-1]→？

◎中1週[4-5-4-31]→アッシュグレー、イッツアメモリー、ウキウキホリデー、ハルハル、ピュアエール、ベアフューチャー

☆中3週[4-0-0-16]→キュムロンニンバス、ミルサクセサー、レゾンデートル

◎斤量3キロ減[6-2-1-23]→ベアフューチャー

◎ブリンカー使用[1-1-2-6]→ミルサクセサー

◎前走3着[2-0-1-1]→ギョベクリテペ

◎前走0.3～0.5秒差[2-1-1-3]→アッシュグレー、ギョベクリテペ

◎前走逃げ[2-0-2-11]→ピュアエール

◎前走先行[8-5-8-33]→ギョベクリテペ、テセウス、ハルハル、ビーマイベイビー

◎前走上がり3位[1-0-2-2]→アッシュグレー、ギョベクリテペ、レゾンデートル

△馬体重399キロ以下[0-2-0-15]→ギョベクリテペ？、ハルハル？

5．ミルニイの結論

◎13ギョベクリテペ

○16ビーマイベイビー

▲5ベアフューチャー

☆9ピュアエール

△3ハルハル、7ミルサクセサー、8アッシュグレー、11レゾンデートル

ミルファーム掲示板独占は厳しい。

他馬主ワンツーも覚悟しなければいけない。

前が壁にならない限りは◎ギョベクリテペの先行押し切りだと信じたい。

マクフィ産駒はとにかくダッシュが速い。スタートが今一つでも挽回できる能力がある。ミナレットの仔(プレカーリー)もマクフィなので非常に楽しみである。データ的には馬体重300キロ台の勝利がないのが気になるが、ギョベクリテペなら克服してくれると信じたい。

ビーマイベイビーは◎にしたかったが、☆ピュアエールが減速したときに捌けるか不安だったので○に。☆が単騎逃げなら○が楽々捌いて◎に先着も十分にあり得るだろう。

一番怖いのは▲ベアフューチャー。夏の千直2歳未勝利で3キロ減は反則スレスレ。鞍上のコバシューはレオハイセンスで千直を経験済み。先週のタイキメサイアを見る限りでは馬群を捌くのも上手で、コテンパンにやられても何ら不思議ではない。

△は能力だけなら十分に足りているミルファーム。キュムロンニンバスを△に入れるか迷ったが、兄のような破天荒タイプではないので入れなかった。テセウス・ウキウキホリデーは印は回さなかったけど一応買う。

昨年初めて現地観戦し、ミルファームを愛する同志と出会うことができた。

今年は競馬場やウインズで叫ぶことはできない。運命的な出会いも生まれない。

それでも、ミルファーマーの魂は荒ぶっている。

世界の平和は、ミルファームに託された。