「もし史実馬が参入するとしたら」
ifシリーズ第2回目です。

　前回の記事を読まれていない方は、素粒子郎の応援も込めて、是非ご一読いただけますとありがたい限りです。

このifシリーズは「今後、本当に新実装があるかも…」とこの読者が思ってくれるような馬を選んでいくつもりで、
◎なぜ新実装があると思ったか
◎キャラクター性
◎（育成ウマ娘として登場した場合の）育成目標、ストーリー構成など
あたりを記載していこうと思います。

馬名：サクラスターオー
父：サクラショウリ
母：サクラスマイル
主な勝ち鞍：皐月賞、菊花賞

第2回は往年のファンならご存知サクラスターオー。
後で書きますが、「この馬、なんで出てないの？笑」というのが正直なところでした。

◎なぜ新実装があると思ったか
第1回に引き続き、以下の視点から話していきたいと思います。
①キャラクターとして成立する史実成績・エピソードはあるか
②他の登場キャラとの絡みがあるか
③馬主的にOKか
①についてはもう今さら僕の方から語るのもおこがましいくらいで、もうサクラスターオーの生き様そのものが物語と言っていい。時系列に追ってみましょう。
・生まれた2か月後、母が腸捻転という病気で急死（サクラスターオーが唯一の子ども）
・乳母は4代母の名牝スターロッチ（近親にはウマ娘にも出てくるウイニングチケットやマチカネタンホイザがいる）
・名前は乳母の名前を冠しサクラ「スター」オー
・その乳母もデビュー2か月前に亡くなる
・2戦目で勝利を飾るも骨膜炎で長期休養
・弥生賞→皐月賞と連勝でクラシック制覇も今度は繋靱帯炎
・復帰に向かうも菊花賞前は調教後すぐ診療所へ向かうなどのあり様
・それでもぶっつけ本番で菊花賞勝利
・「菊の季節にサクラが満開！菊の季節にサクラ！サクラスターオーです！」の杉本清アナウンサー五本の指に入る明実況のオマケ付き
・休養に入る予定もファンからの熱烈な要望を受け有馬記念出走
・有馬記念で故障、そのまま安楽死措置が取られてもおかしくない中、ファンとオーナーの意志を受けて厩舎にて懸命の助命活動
・ファンから手紙や千羽鶴による応援もあったが、その甲斐むなしく安楽死の措置が取られる
これだけでもうお腹一杯ですが、87年世代はいわゆる狭間の世代で、85年末に七冠馬シンボリルドルフ、87年春に四冠馬ミホシンザンといったスターホースが去り、また87年以降からは葦毛伝説の始まりとなったタマモクロスを始め平成3強が芽を出し始める頃という、何とも不遇な世代でした。
続くスターホースが待ち望まれていた中で、
・ダービーでは皐月賞馬不在の中で強い勝ち方をしたものの、その後成績がパッとしなかったメリーナイス
・シンボリルドルフと同配合で期待されるもクラシック奮わず、6歳秋に復活勝利挙げるもそのレース後に故障・安楽死となったマティリアル
・その美しさで有名も、クラシックは善戦どまり、ウマ娘にも登場するゴールドシチー
など、イマイチ光り切れなかった馬たちの中にひときわ輝く彗星のような存在……。
それがサクラスターオーでした。
脚色の入り込む余地がないという意味では逆にシナリオライターを困らせるかもしれません笑
せっかくなのでYouTubeから映像も拝借しちゃいましょう。

②が一番難しいところで、現在既にウマ娘に登場しているキャラクターのうち、サクラスターオーの現役時代に直接対決のあった馬はゴールドシチーのみ。ただし、前述したスターロッチ関連で行けばウイニングチケット・マチカネタンホイザの絡みは作れそうですし、翌88年からは同期のタマモクロス、1つ下のオグリキャップ、スーパークリークが有馬記念などGIに登場するので、後述するシニア級の目標に歩みを進める中で登場しても、何ら違和感ありません。
ちなみに、メリーナイスは既にシンデレラグレイの中で「メリービューティー」という名前で登場しているそうです。また、サクラスターオーの同世代で牝馬二冠を達成したマックスビューティがいるのですが、こちらはマヤノトップガンと同馬主ということで登場もあり得るかと思いましたが、「メリービューティー」の中で一緒くたにされちゃっているので少し難しそうですね笑
マティリアルの馬主はシンボリルドルフと同じですし、見た感じまだ出ていないようなのであり得るかもしれませんが…。
③については、「サクラ」の冠名で知られるさくらコマースは他にサクラバクシンオーやサクラチヨノオーが既にウマ娘に登場（サクラチヨノオーは現在漫画『シンデレラグレイ』での登場のみ）しており、この点から言っても全く問題ないでしょう。

◎キャラクター性
現在70人いるウマ娘のキャラクターのうち、レース中の故障により予後不良となったウマ娘はサイレンススズカ・ライスシャワーの2名。いずれもどこか儚い感じのキャラクターとなっています。
ただ、サクラスターオーはちょっと異なる感じになるかなぁと予想（妄想）しています。
上のエピソードを見ても分かる通り、ケガをしてもケガをしても不屈の魂で大レースを勝ちきる勝負強さ、ファンの期待に応えて懸命に走る・生きようとする姿……これはウマ娘の中だと、とりわけトウカイテイオーの姿に重なります。
また、二人の母をデビュー前に亡くしているという事実や、同世代が「不遇の世代」の言われている（サクラスターオーも含め）逆境も考えると、どちらかというと主人公的なキャラクターの方が合っているんじゃないでしょうか。
ウマ娘ではサイレンススズカやライスシャワーを見ても故障してそのまま終わるということはないので（それがifの想いを乗せられるウマ娘ならではの良さだと思いますが）、サクラスターオーも有馬記念で故障で終わりではなく、そこから復帰をして、タマモクロスやオグリキャップ・スーパークリークといった名馬たちと対戦するというシナリオが描けると思います。
そうなった時に、気になるのはキャラ被り。現状、主人公感のあるキャラクターを筆者偏見により抜粋したところ、以下のウマ娘が当たるかと思われます。
スペシャルウィーク
トウカイテイオー
キタサンブラック
サクラチヨノオー
ということで、このウマ娘たちとキャラ被りがない形で、かつシナリオに沿うようにキャラクターを作らないといけません。難しい……。
イメージとしてはキタサンブラックのような正統派主人公を意識しつつ、「絶対に負けない」という逆境感・燃え上がる闘志をより前面に出したタイプなのかなぁと想像します。ただし、ビジュアルは闘志を感じさせないような美麗な感じがいいでしょうか。彗星のイメージがあるので、あまり闘志を滾るビジュアルだと少し暑苦しい感じがします。性別は違いますが千と千尋の神隠しのハクくらいのサラッとした感じくらいがちょうどいいかも。
（書いてて思ったけどキャラクターを文章で表現するのめちゃくちゃ難易度が高い笑）

◎（育成ウマ娘として登場した場合の）育成目標、ストーリー構成など
育成目標は以下の通りになるんじゃないですかね。
①メイクデビューに出走(デビュー)
②ファンを3000人集める
③弥生賞で3着以内
④皐月賞で5着以内
⑤菊花賞で3着以内
⑥有馬記念で3着以内
⑦天皇賞春で2着以内
⑧天皇賞秋で1着
⑨有馬記念で1着
クラシック級まではスンナリ決まると思いますが、問題は完全にif展開となるシニア級。
前述のタマモクロス・オグリキャップなどの絡みを背景に、タマモクロスの初GIとなった天皇賞春、初めてタマモクロス・オグリキャップの葦毛対決が実現した天皇賞秋、故障で勝つどころか完走もできなかった有馬記念での勝利。この流れが一番綺麗な気がします。
ちなみに、アニメの場合は故障による長期離脱（サイレンススズカ、メジロマックイーン、トウカイテイオーなど）の演出が可能でしたが、ゲーム内ではトレーニングをずっと続けるゲームシステム上の前提があるので、そういった表現は出来ません。ですので、⑥有馬記念で3着以内の前後の流れはストーリー構成に工夫が必要です。
まとまりのいいシナリオとしては
「ファンと同期の期待に応えるべく有馬記念に出る」
「（敗れる前提で）期待に応えるだけじゃダメ、自問自答しつつタマモクロスとの対決（天皇賞春）へ」
「天皇賞秋・有馬記念で亡き母・同世代・ファンに捧げる勝利」
といったような感じでしょうか。

第2回目、いかがでしたでしょうか。

サクラスターオーは史実がシナリオとして"完成されすぎている"ために、ifを盛り込んだ話の展開を再構築するのが逆に難しいというレアなケース。関係する他のウマ娘が少ないことも未登場の原因かもしれません。

とはいえ、関係するウマ娘が少ないからこそ単独シナリオとしての登場という可能性は高まります。また、ウマ娘公式が以前にサクラスターオーの名前を出しているのも気がかりです。

また、シンデレラグレイは単行本派なので最新話まで追えていないのですが、「メリーナイス　ウマ娘」と検索すると先述の「メリービューティー」の話が複数出てくる一方、「サクラスターオー　ウマ娘」と調べてもそれらしき話がほぼ出てきていません。恐らくシンデレラグレイにはまだ登場していないということなのでしょうが、ウマ娘として登場の余地はまだ残されていると捉えたいです。

余談ですが、4/26にサクラチヨノオーとヤエノムテキの声優が発表、ヤエノムテキのサポートSSRに両名が登場しましたが、サクラチヨノオーとダービーで雌雄を決したメジロアルダンがまだ声優の発表すらされていないのが非常に気になります。

3月・4月と月1でストーリーイベントが開催されていましたが、5月はゴルシウィークもあり未だイベントは告知含めて無し。次回更新は5/17ですが、そろそろこのあたりの時代の話が来るんじゃないかな～と睨んでいます。